2010年7月18日日曜日

江戸前

お寿司屋さんの暖簾に 江戸前寿司 と書かれているのをよく見かけます。
江戸前ですが、
江戸前という言葉は、江戸城の前を意味し、羽田沖から江戸川河口周辺までの沿岸部を指していたと言われています。
東京湾を南に北に行き来して広い範囲で漁が行われるようになると、江戸前の範囲も徐々に曖昧になってきました。
そこで2005年、水産庁の「豊かな東京湾再生検討委員会食文化分科会」が、“東京湾全体でとれた新鮮な魚介類を江戸前とする“と定め、三浦半島の剣崎(神奈川県三浦市)と房総半島の洲崎(千葉県館山市)を結ぶ線より内側をすべて江戸前とし定義して統一しました。
観音崎(神奈川県横須賀市)と富津岬(千葉県富津市)を結ぶ線を境に、内湾と外湾を往来する穴子・キス・スズキなどは勿論のこと、外湾で獲れる伊勢海老や鮑も現在は江戸前として流通しています。

穴子:江戸前穴子は肌があめ色をしていて、皮も柔らかく脂ののりがよいです。
江戸前白ミル貝:食感が良く、刺し身が美味しいです。
コマガレイ:東京湾の砂地に棲む内湾性の魚で、身質がきめ細やかです。
キス:あっさりとした白身で、天ぷらや焼き物がおすすめです。かっては江戸前の代表的な魚でしたが、近年は数がめっきり減りました。

江戸前寿司の職人技によって高められた粋な料理、ヅケや〆、焼きなどの寿司も江戸前として長く楽しまれてきました。そうした寿司の仕事は冷蔵技術が発達していなかった時代に生まれた文化です。
(ISETAN STYLE)